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簡易課税制度とは、その売上に対する消費税額を基にして、仕入控除税額を計算する制度で、記帳などの面で簡便な方法であるといえます。
具体的には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額に、みなし仕入率(90%〜50%)を乗じて計算した金額が仕入控除税額とみなして計算する制度です。したがって、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算する必要がなく、課税売上高のみから納付する消費税額を算出することができます。
要件
簡易課税制度の適用を受けるためには、次のすべての要件を満たす必要があります。
(1)課税事業者の基準期間における課税売上高が2億円以下であること
(2)「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に所轄税務署長に提出していること
| ・ |
簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書(「消費税簡易課税制度選択届出書」)を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(開業年等である場合には、その課税期間)以後の課税期間から適用されます。 |
| ・ |
簡易課税制度を選択している場合であっても、基準期間の課税売上高が2億円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できません。 |
| ・ |
簡易課税制度の適用を受けている事業者が、簡易課税制度の適用をやめようとする場合又は事業を廃止した場合には、その旨の届出書(「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署に提出する必要があります。なお、簡易課税制度の適用をやめようとする届出書を提出した場合には、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から原則的な方法に戻ることになります。 |
| ・ |
簡易課税制度の適用を受けた事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間以上継続した後でなければ、簡易課税制度の適用をやめることはできません。 |
| ・ |
簡易課税制度の適用をやめて原則的な方法に戻った場合には、課税仕入れに係る帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。 |
みなし仕入率
簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率は、次のとおりです。
| 事業区分 |
みなし仕入率 |
該当する事業 |
| 第一種事業 |
90% |
卸売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 |
| 第二種事業 |
80% |
小売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで消費者に販売する事業)をいいます。 |
| 第三種事業 |
70% |
農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
| 第四種事業 |
60% |
第一種事業、第二種事業、第三種事業及び第五種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業等などが該当します。また、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業についても第四種事業となります。 |
| 第五種事業 |
50% |
不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
事業の区分は原則として取引ごとに判定し、いずれかに区分することになります。このため、2種類以上の事業を営む事業者は課税売上げを事業の種類ごとに区分しておくことが必要となります。
例)小売業を営んでいる場合
商品の消費者への販売の取引・・・・・・・第二種事業(80%)
単発的に商品を業者に対し業販する取引・・第一種事業(90%)
事業用の車などを譲渡する取引・・・・・・第四種事業(60%)
仕入控除税額の計算
| 1種類の事業のみを営む事業者の場合 |
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第一種事業から第五種事業までの事業のうち1種類の事業のみを営む事業者については、その課税期間の課税標準額に対する消費税額に、該当する事業のみなし仕入率を乗じた金額が仕入控除税額となります。
| 仕入控除税額 |
= |
課税標準額に村する消費税額 |
× みなし仕入率 |
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第一種事業 90%
第二種事業 80%
第三種事業 70%
第四種事業 60%
第五種事業 50% |
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| 2種類以上の事業を営む事業者の場合 |
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第一種事業から第五種事業までの事業のうち2種類以上の事業を営む事業者の仕入控除税額の計算は、次のようになります。
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イ. |
原則的な計算方法
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それぞれの事業の課税売上げに係る消費税額に、それぞれのみなし仕入率を乗じた金額の合計額となります。
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ロ. |
2種類以上の事業を営む場合で1種類の事業に係る売上高が全体の売上高の75%以上を占める場合
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その75%以上を占める事業のみなし仕入率を全体の課税売上高に対し適用することができます。
例えば、卸売業(第一種事業)と小売業(第二種事業)を兼業している事業者の課税売上高が卸売部門80%、小売部門20%であるときは、その課税売上高の全体について第一種事業のみなし仕入率である90%を適用することができます。
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ハ. |
3種類以上の事業を営む場合で、2種類の事業に係る売上高の合計が全体の売上高の75%以上を占める場合
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3種類以上の事業のうち、特定の2種類の事業の売上高の合計が全体の売上高の75%以上を占める場合には、その2種類の事業のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上高に適用することができます。
例えば、卸売業(第一種事業)、小売業(第二種事業)、サービス業(第五種事業)の3種類の事業を兼業している事業者のそれぞれの事業に係る課税売上高の割合が、卸売部門45%、小売部分35%、サービス部門20%の場合には、卸売部分の課税売上高については第一種事業のみなし仕入率である90%を、残りの小売及びサービス部分の課税売上高の合計については第二種事業のみなし仕入率である80%を適用することができます。
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課税売上高を事業の種類ごとに区分していない場合
第一種事業から第五種事業のうち2種類以上の事業を営む事業者は、その課税期間中に行った課税売上げを事業の種類ごとに区分することとされていますが、この区分を行っていない場合には、その区分していない課税売上げについては、これら区分していない2種類以上の事業のうち最も低い事業のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算することとなります。
例えば、第一種事業、第二種事業と第三種事業を営む事業者が、課税売上げを区分していない場合には、区分していない第一種事業及び第二種事業に係る課税売上げについても第三種事業のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算することとなります。
注意点
簡易課税制度は、みなし仕入率を用いて消費税額を計算する制度です。従って、実際の仕入率がみなし仕入率よりも低い場合にはその差の部分について消費税を納める必要がなくなります。(所謂、消費税の益税と呼ばれている部分です。)反対に実際の仕入率がみなし仕入率よりも高い場合には預かった以上の消費税を納めなければならない事もあります。特に設備投資を行なう事が予定されるような場合には特に注意が必要です。なお、簡易課税制度は一度選択をした場合には2年間以上、簡易課税制度を継続した後でなければ、簡易課税制度の適用をやめることはできませんので、その点も充分に考慮する必要があります。
原則課税と簡易課税でどちらが得?
原則課税では、売上時に預かった消費税から仕入や費用などを行なった時にな支払った消費税を差引いて,その差額を納付する計算方法です。
この計算方法によると、基本的には消費税は事業者を通り過ぎるだけなので事業者にとっては損得は生じません。つまり、消費税がなかった時代のときと同じ利益が残る計算になります。
一方、簡易課税とは、売上時に預かった消費税から、おおまかな事業の形態に従って法律上見積もった仕入・費用に係る消費税額を差し引いて差額を納付する計算方法です。この計算方法によると、仕入・費用に関して実際に支払った消費税額と見積った消費税額とに差が多少なりとを存在するはずです。実際に支払った消費税額が見積った消費税額より少なければ得をし、実際に支払った消費税額よりも見積った消費税額の方が多ければ損をします。
実際に明らかに実際に支払う消費税額が少ないならば簡易課税制度を採用した方が良いのですが、この簡易課税制度を選択するためには前期中に税務署に届出を提出し、また、簡易課税制度を選択後2年間は簡易課税制度を採用し続けなければなりません。仕入に関しては経済状況などによって変動があるケースもあるでしょうし、2年間の間には設備投資をしなければならないケースもあると思われます。
結局は、得か損かという問題はその課税期間が終了してみなければわからないのですが、過去の実績をキチンとつかみ、それらの実績を基に2年間ぐらいの予測をどのように立てるかが大切だと思われます。
具体的な計算例
| 原則方式による場合 |
簡易課税方式による場合 |
その課税期間の課税売上高1億円
その課税期間の課税仕入高7千万円
食品の小売を行なっている事業者です。 |
| 1. |
消費税の金額 |
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A |
売上に係る消費税 |
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100,000,000円×4%=4,000,000円 |
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B |
仕入に係る消費税 |
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70,000,000円×4%=2,800,000円 |
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C |
A−B=1,200,000円
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| 2. |
地方消費税の金額 |
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1,200,000円×25%=300,000円
消費税の金額(C)の金額を基準に計算します。 |
| 3. |
消費税と地方消費税の合計金額(納付金額) |
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1,200,000円+300,000円=1,500,000円 |
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| 1. |
消費税の金額 |
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A |
売上に係る消費税 |
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100,000,000円×4%=4,000,000円 |
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B |
仕入に係る消費税 |
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a. |
100,000,000円×80%=80,000,000円
80%とは小売業のみなし仕入率です。 |
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b. |
80,000,000円×4%=3,200,000円 |
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C |
A−B(b)=800,000円 |
| 2. |
地方消費税の金額 |
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800,000円×25%=200,000円
消費税の金額(C)の金額を基準に計算します。 |
| 3. |
消費税と地方消費税の合計金額(納付金額) |
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800,000円+200,000円=1,000,000円 |
| 原則方式とくらべ500,000円納付額が少ない |
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上記の例では簡易課税の方が税額が少なく計算されていますが、すべてにおいて簡易課税の方が有利というわけではありません。
また、2種類以上の事業を行なっている場合などや非課税の取引金額がある場合、事業用資産の売却等がある場合などは計算は複雑になります。
上記、計算例は簡便に計算をしたもので、実際の計算方法とは若干異なる部分があります。 |
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