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相続税のトピックス


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平成15年度自民党税制改正大綱によると相続税・贈与税について次のような改正案が出されています。

基本的考え方

相続税・贈与税

(1)相続税・贈与税の一体化措置
 高齢化の進展等を跨まえ、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させる観点から、相続時精算課税制度(仮称)を創設する。本制度における贈与段階の課税については、相続時の精算を前提にした概算払いという性格を跨まえ、軽減・簡素化する(非課税枠2,500万円、非課税枠を超える部分について税率20%で課税)。
 また、住宅投資促進を図る観点から、本制度について、平成17年未までの時限措置として、住宅取得資金の贈与の場合は、非課税枠を1,000万円上乗せして3,500万円にするとともに、贈与者の年齢要件を撤廃する。なお、現行の住宅取得資金の贈与税額の特例については、平成17年未までの間、経過措置として存置する。

(2)相続税・贈与税(暦年課税)の税率の改正
現行の相続税の最高税率(70%)については、個人所得課税の最高税率(50%)の水準等を謄まえ、50%に引き下げる。これに伴い、簡素化の観点も跨まえ、必要な税率構造の調整を行い、税負担の軽減を図る。贈与税については、相続税に準じて見直す。
なお、一体化措置を含め、これらの改正は、原則平成15年1月1日以後の相続等について適用する。


平成15年度税制改正の具体的内容
相続税

1 相続時精算課税制度(仮称)の創設
以下のとおり相続時精算課税制度を創設する。

(1)概要
生前贈与については、受贈者の選択により、贈与時に贈与財産に対する贈与税(「贈与税」)を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った「贈与税」を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることができることとする。

(2)適用対象者
本制度の適用対象となる贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む。)とする。

(3)適用手続
本制度の選択を行おうとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うものとする。この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、最初の贈与の際の届出により相続時まで本制度は継続して適用される。

(4)適用対象財産等
贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限を設けない。

(5)税額の計算
a.贈与税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について贈与時に申告を行い、他の贈与財産と区分して、その贈与者からの贈与財産の価額の合計額を基に計算した「贈与税」を支払うものとする。その「贈与税」の額は、上記の贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる2,500万円(非課税枠)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出する。
b.相続税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して現行と同様の課税方式(法定相続分による遺産取得課税方式)により計算した相続税額から、既に支払った「贈与税」相当額を控除する。その際、相続税額から控除しきれない場合には、「贈与税」相当額の還付を受けることができる。なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価とする。


2 相続税の税率構造の改正相続税の税率構造について、次のように最高税率を引き下げるとともに、税率区分を拡大する。

(現  行)  税率     (改 正 案) 税率
800万円以下の金額 10% 1,000万円以下の金額 10%
1,600万円  〃 15% 3,000万円  〃 15%
3,000万円  〃 20% 5,000万円  〃 20%
5,000万円  〃 25%    
1億円    〃 30% 1億円    〃 30%
2億円    〃 40% 3億円    〃 40%
4億円    〃 50% 3億円超の金額 50%
20億円    〃 60%  
20億円超の金額 70%

3 贈与税の税率構造の改正
相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について、次のように最高税率を引き下げるとともに、税率区分を拡大する。

 (現行) 税率  (改 正 案) 税率
150万円以下の金額 10% 200万円以下の金額 10%
200万円   〃 15% 300万円   〃 15%
250万円   〃 20% 400万円   〃 20%
350万円   〃 25%    
450万円   〃 30% 600万円   〃 30%
600万円   〃 35%    
800万円   〃 40% 1,000万円  〃 40%
1,000万円  〃 45%    
1,500万円  〃 50% 1,000万円超の金額 50%
2,500万円  〃 55%    
4,000万円  〃     60%    
1億円    〃     65%    
1億円超の金額   70%    

(注)上記1から3までの改正は、平成15年1月1日以後の相続又は贈与から適用する。

4 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例の創設

(1) 相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋を取得する資金又は自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築のための資金の贈与を受ける場合に限り、65歳未満の親からの贈与についても適用することとし、2,500万円の非課税枠に1,000万円を上乗せし、非課税枠を3,500万円とする。
(2) 「一定の家屋」とは、新築又は築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には、25年以内)の家屋で床面積が50u以上であることその他の要件を満たすものをいう。
(3) 「一定の増改築」とは、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替等であって、当該増改築の工事費用が100万円以上であること、当該増改築後の床面積が50u以上であることその他の要件を満たすものをいう。
(4) この特例は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与により取得した住宅取得資金等について適用する。
(5) 現行の住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例(5分5乗方式)については、平成17年12月31日まで、経過措置として存置する。


5 その他

(1) 相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人の贈与税の申告内容について、必要最小限の情報を相続人の請求により税務署長が開示する制度を創設する。
(2) 相続税額の二割加算制度について、加算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である者を除く。)を追加する。
(3) 贈与税について、更正等の期間制限(現行3年又は5年)を6年に延長する。
(4) 生命保険に関する権利の法定評価の規定について、所要の経過措置を講じたうえ廃止し、原則として個々の契約に係る解約返戻金の額を用いて評価することとする。
(5) 税務職員の守秘義務違反に係る罰則を2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(現行2年以下の懲役又は3万円以下の罰金)とする。
(6) 出国時における申告書の提出期限の延長、税務職貞の検査対象規定の整備、相次相続控除の規定の整備、財産の所在地に関する規定の明確化その他所要の規定の整備を行う。
(7) 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例については、相続時精算課税制度に係る贈与財産を適用対象に加えるとともに、所要の規定の整備を行う。
(8) (7)のほか、相続時精算課税制度の導入に伴い、租税特別措置その他の規定ついて、所要の規定の整備を行う。


「平成15年度自民党税制改正大綱−p.3〜4.p.14〜p.17」より



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