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退職金の税金



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 退職金は金額が多い場合が多いので税金が気になるところです。ただ、退職金については税務上それほど難しくはなく、また、負担も軽いのですが、支給時に税金がかかっている場合には確定申告によって税金が戻ってくる場合が多いのでかならず申告をすることが大切です。

 勤務先を退職するときの退職金、一時恩給などを退職所得といい、長年の功労に報いるために他の所得よりも税額が軽減されています。その計算は、収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引き、残りの金額の2分の1に対して税率を掛けて計算します。退職所得控除額の計算に当たっては勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます。(3年2ヶ月の場合→4年、160万円)
また、退職所得控除額の最低額は80万円です。なお、税率は通常の所得税の総合課税による税率表を用います。なお、住民税に関しても総合課税による税率表を用いますが、現在は軽減率として0.9を乗じることになっています。

退職所得の計算
 退職所得金額 = (退職金の収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2
 退職所得控除額は勤続年数によって、次のようになります。
勤続年数 退職所得控除額の計算式
20年以下の場合 40万円 × 勤続年数(80万円未満のときは80万円)
20年を超える場合 70万円 × (勤続年数 − 20年 )+ 800万円
 障害者になったことが原因で退職した場合は、上記控除額に100万円を加算します。

退職所得にかかる源泉徴収税額
 退職の日までに、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職金から所得税と住民税が源泉徴収されて退職所得に関しては納税が終了します。ただし、後述するように現在行なわれている定率減税が退職所得の源泉徴収額には考慮されていないので、確定申告をすると税金が戻ってくることがあります。
 また、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合は退職金の収入金額の20%という高額な所得税が徴収されるので注意が必要です。この場合には当然確定申告をすれば税金は還付されると思われます。
 住民税に関しては、確定申告をする年の翌年に納めますが、退職所得に関しては「現年課税」といって、退職金の支払を受けたときに、その退職金から差し引いて、その年に納める仕組みになっています。


【具体的計算】
勤続年数30年で退職金1800万円が一時金で支給された場合

(A) 「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合
(1)退職金の金額から退職所得控除額を差し引く
   (1800万円-1500万円(退職所得控除早見表より))*1/2=150万円
(2)所得税150万円×10%−0円=150,000円
   住民税(150万円×5%-0円)×0.9(軽減率)=6,7500円
(3)手取額
  1800万円−150,000円(所得税)−6,7500円(住民税)=17,782,500円

(B) 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合

(1)所得税額
   1800万円×20%=360万円
(2)手取額
   1800万円−360万円=1,440万円
 この場合でも確定申告をすることによって上記(A)と同様の税額になります。

退職所得控除額早見表
勤続年数 控除額 勤続年数 控除額 勤続年数 控除額 勤続年数 控除額
1年 80万円 11年 440万円 21年 870万円 31年 1,570万円
2年 80万円 12年 480万円 22年 940万円 32年 1,640万円
3年 120万円 13年 520万円 23年 1,010万円 33年 1,710万円
4年 160万円 14年 560万円 24年 1,080万円 34年 1,780万円
5年 200万円 15年 600万円 25年 1,150万円 35年 1,850万円
6年 240万円 16年 640万円 26年 1,220万円 36年 1,920万円
7年 280万円 17年 680万円 27年 1,290万円 37年 1,990万円
8年 320万円 18年 720万円 28年 1,360万円 38年 2,060万円
9年 360万円 19年 760万円 29年 1,430万円 39年 2,130万円
10年 400万円 20年 800万円 30年 1,500万円 40年 2,200万円
勤続年数が41年以上の場合は1年あたり2200万円に70万円を加算、障害退職の場合には上記金額に100万円を加算

退職所得所得税・住民税額早見表
退職所得金額 所得税額 住民税額 税金合計 退職所得金額 所得税額 住民税額 税金合計
50万円 50,000円 22,300円 72,300円 800万円 1,270,000円 657,000円 1,927,000円
100万円 100,000円 44,700円 144,700円 850万円 1,370,000円 715,500円 2,085,500円
150万円 150,000円 67,500円 217,500円 900万円 1,470,000円 774,000円 2,244,000円
200万円 200,000円 90,000円 290,000円 950万円 1,620,000円 832,500円 2,452,500円
250万円 250,000円 135,000円 385,000円 1,000万円 1,770,000円 891,000円 2,661,000円
300万円 300,000円 180,000円 480,000円 1,050万円 1,920,000円 949,500円 2,869,500円
350万円 370,000円 225,000円 595,000円 1,100万円 2,070,000円 1,008,000円 3,078,000円
400万円 470,000円 270,000円 740,000円 1,150万円 2,220,000円 1,066,500円 3,286,500円
450万円 570,000円 315,000円 885,000円 1,200万円 2,370,000円 1,125,000円 3,495,000円
500万円 670,000円 360,000円 1,030,000円 1,250万円 2,520,000円 1,183,500円 3,703,500円
550万円 770,000円 405,000円 1,175,000円 1,300万円 2,670,000円 1,242,000円 3,912,000円
600万円 870,000円 450,000円 1,320,000円 1,350万円 2,820,000円 1,300,500円 4,120,500円
650万円 970,000円 495,000円 1,465,000円 1,400万円 2,970,000円 1,359,000円 4,329,000円
700万円 1,070,000円 540,000円 1,610,000円 1,450万円 3,120,000円 1,417,500円 4,537,500円
750万円 1,170,000円 598,500円 1,768,500円 1,500万円 3,270,000円 1,476,000円 4,746,000円
この表の「退職所得金額」とは(退職金収入-退職所得控除額)×1/2の金額で、「退職金収入」ではありません
また、所得税額には定率減税が実施されてなく、住民税額には均等割が含まれていません。

退職所得の受給に関する申告書

 「退職所得の受給に関する申告書」は右の用紙です。実際の用紙をみると記載する事項が多く、なにやら難しいように思えますが、通常の場合には会社住所、会社名、自分の氏名、住所、その年の1月1日の住所、A欄の勤務期間などを書いて印鑑を押せばいいのですが、退職金規定などで特別な勤務期間の計算があるような場合などは会社と確認しながら記入してください。また、適格退職年金など生命保険会社が会社に代わって一時金を支払う場合がありますが、通常、生命保険会社が必要事項を印刷した用紙に署名し、印鑑を押せばOKです。
 また、この用紙は「支払者受付印」欄があるように、税務署に直接提出するのではなく、退職金の支払者である「会社」に対して提出します。なお、この「退職所得の受給に関する申告書」は国税庁のタックスアンサーのホームページからダウンロードすることもできます。

退職時の確定申告

 年末に退職する場合を除き、給与所得については年末調整が行なわれていないので生命保険料控除、損害保険料控除などの適用が行なわれておらず、また在職時に控除されている所得税は年を通じて給与収入があると仮定した場合の金額が月々控除されていますから、退職後再就職をしなかった場合には通常は確定申告を行なうことによって所得税の還付が行なわれるケースが多いと思われます。
 退職所得については「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、その年分の退職所得分の所得税、住民税についても退職時に課税されていますので本来は課税が終了しています。しかし、現在は「定率減税」制度がありますので、他の所得において定率減税の25万円の限度額までを使用していない場合には定率減税分の所得税の還付を受けることが可能です。従って、退職後再就職をしなかった人も、再就職をして再就職先で前職分を含めた年末調整を受けた人も確定申告をすることによって所得税が還付される可能性があります。
 なお、退職所得の確定申告を行う場合には「確定申告書B様式」と「分離課税用 別表第三表」を併せて提出する必要があります。「確定申告書A様式」では退職所得に関する申告はできませんのでご注意ください。ただし、退職所得の金額がない場合(退職所得に係る源泉所得税額が0円の場合)についての確定申告は「確定申告書A様式」を使用することができます。


退職所得の確定申告に必要な書類
・確定申告書B様式
・分離課税用 別表第三表
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
・生命保険・損害保険料控除証明書など

その他の注意点

 退職金が高額な場合には合計所得金額が1000万円を超えてしまうケースがあります。この様な場合には配偶者特別控除や老年者控除などの適用を受けることはできません。再就職後に前職分の給与所得を合算して再就職先で年末調整を受ける様なケースでは再就職先では退職所得金額を把握することが通常できないので配偶者特別控除や老年者控除の適用を受けてしまう場合があります。このようなケースでは年末調整時に再就職先の人事担当者に個別に相談するか、もしくは確定申告時に配偶者特別控除や老年者控除の適用を受けないように再計算した申告書を提出しなければなりません。

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