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解雇・雇用を中心とした労働問題のトレンド


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 規制改革推進3ヵ年計画、総合規制改革推進会議などの答申を踏まえ、労働政策審議会労働条件分科会などで平成15年1月の国会提出を目指し、労働基準法、労働者派遣法、職業安定法などの改正議論が活発になっています。これらの改正はいずれも終身雇用、期間の定めのない契約など戦後日本の特徴的な制度の転換期において大きな意味を持つ内容となっています。


解雇ルールの法制化
 現在の労働基準法においては「解雇」に関する規定は解雇予告手当等、手続面での法制化は行なわれているものの、解雇の正当性などの部分についは個別に裁判等により判断がおこなわれており、紛争の長期化などの諸問題が生じています。そこで、これらの問題を解決するために次のような検討がされています。
企業が従業員を解雇する場合に、使用者が「正当な理由」がなく行った解雇については権利濫用として無効にすることを労働基準法に明文化することを検討。整理解雇における4要件の法制化については現段階では疑問とされています。
解雇の予告を受けた従業員が、事業主に解雇理由の証明書を請求できるようにすることを検討。これは現行の退職時証明に加え、使用者に対して解雇の理由を記載した文書の交付を請求できる規定を労働基準法に設ける方向。
就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」について、「解雇の事由」を記載しなければならないとすることを検討。また、労働契約締結時に明示すべき労働条件のなかにも「解雇の事由」を明確にする方向
解雇無効の場合、原職復帰だけでなく、労使双方の申し出による金銭解決も可能とする規定を労基法に盛り込むことを検討。
 解雇が正当なものではないとしても、雇用関係を継続できない理由がある場合などでは、雇用契約を終了させ、使用者に対して労働者に一定の金銭の支払いを命ずることを、労使双方が裁判所に請求できる制度の創設することを検討。ただし、「雇用関係を継続しがたい事由」を条文に明記する案も検討されており、また、「一定の金銭の額」については、「労働者の勤続年数その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額」とするなどの案があります。



有期労働契約期間の拡大
 従来、期間の定めのない契約が多く採用されてきましたが、終身雇用制の崩壊に伴ない、労働移動を容易にするため、柔軟で長期的な採用が行なえるように次のようなことが検討されています。
労働契約の期間の上限については、現行の原則1年以内を3年以内に延長することを検討
一定の高度な知識、技術を持つ専門職や満60歳以上の高齢者については現行3年以内を5年以内に延長することを検討。
有期労働契約の締結、更新・雇止めに関する基準を定めることができるよう根拠規定を労基法上に設けることも盛り込む方向。一定期間(1年)以上雇用された有期契約労働者を契約更新しない場合は、30日前に予告することなどを定める方向。



裁量労働の手続きの簡素化
 企画業務型裁量労働制は、おもに本社での企画・立案・調査・分析などの業務に限られており、労使委員会設置、委員会委員全員合意を要し、労働基準監督署長に届出等の必要など、制度導入に関する要件や手続きの煩雑さが指摘されており、実際の採用例が少ないのが現状です。
米国のホワイトカラー・エグゼンプション制度を参考にして、裁量性の高い業務について労働基準法の労働時間規制の適用除外にすることを検討。
企画業務型裁量労働制の導入、運用での手続きについて簡素化する。
(1) 労使委員会決議の委員の合意を、現行の全員合意から、委員の4/5以上の合意に緩和
(2) 労働組合などから指名された労働者代表委員が改めて労働者の過半数の信任投票を得なければならない要件の廃止
(3) 労使委員会の設置について労働基準監督署への届け出要件の廃止
(4) 健康・福祉確保措置の労働基準監督署への報告を簡素化
(5) 労使委員会の決議の有効期間の限度1年の撤廃など
また、「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」に限定する要件を廃止することも検討。
専門業務型裁量労働制についても、健康・福祉確保の措置や苦情処理の措置の導入を検討。



労働者派遣法の改正
 派遣労働は臨時的・一時的な労働力の需給調整としての位置付けがなされていますが、労働力需給のミスマッチ解消や労働者の就業意識の多様化などその意味も大きく変わりつつあります。そのなかで次のような改正が検討されています。
派遣業務拡大について、専門的派遣の現行26業務に営業・販売など専門性の高い業務を追加すること、また、「物の製造」についての派遣労働を認める方向(派遣期間一年)。
派遣期間に関する論点は、臨時的派遣の一年制限を撤廃し、専門的派遣と同じ三年に延長。
紹介予定派遣の規制緩和では、派遣前の面接解禁や求人条件の明示時点の前倒しを検討。


 以上はいずれも労働者の採用、解雇など労働移動に関するもので昨今の雇用の悪化の解消をめざすとともに、使用者側の経営改善のための要望を多く取り入れた形になっています。金銭による労働者の解雇は解雇リスクに特別に慎重になり自由な採用を阻害するものを解消するものでもあります。また、有期雇用・労働者派遣に関しては3年程度の中短期の期間雇用の形態は大企業を中心に要望が強くあったものです。米国のホワイトカラー・エグゼンプションは米国の経済成長には欠かせないものであり、この制度を取り入れた裁量労働制は早くから望まれていたものでもあります。しかし、一方では労働者側からはいずれも大きな反論もあり、今後の動向に注意する必要があります。
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